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スケッチとアイスティーの夏
御木時
一冊のクロッキーブックと0・5ミリのペン一本。
ひたすら一日中スケッチをして、疲れたら少し休み、汗を拭き、氷の入ったシロップ入りの甘いアイスティーを飲んで乾きと疲れをほんの少しやわらげたら、また描き続ける。
誰に強制された訳でもないのに、来る日も来る日もその繰り返しで紙が無くなるまで絵を描き続けたあの夏休み。
スケッチ旅行にも美術館巡りにも行かず、だた絵を描き続けた日々。
◆目次(収録内容)
スケッチとアイスティーの夏
第一部
第二部
◆立ち読みコーナー
朝ゆっくりと目が覚める。夏休みだから急ぐ必要はない。
それよりも今日は絵を描きまくる計画の初日だ。
小さなおにぎりを四個作って、朝食に二個食べる。残りは小さなお弁当箱に詰めてリュックに入れる。昨夜凍らせておいたアイスティーの氷と良く冷やしておいたアイスティーを入れ、仕上げにシロップを注いで蓋をする。
使いかけのクロッキーブックと黒ペンを一本。汗ふき用の手ぬぐい。絵の具や椅子やイーゼル類を持たないから荷物は軽い。
今日の目的地は学校から歩いて行ける距離にある海岸。
適度に人がいて(主に子供)、それでいて海水浴場ではないからごった返してはいない。
初日から張り切りすぎて嫌になると困るので、人を見ることができて、なおかつ日陰で風が少し吹く涼しそうな場所を探し腰掛ける。岩陰、木陰。

